赤羽明日香 ままえん代表
Asuka Akabane
看護師 / 保育士 / 虹色発達サポーター
看護師として様々な医療現場で働く。約5年ほど前から重症心身障害児者施設で働き、その後、並行して、助産院と母子訪問看護ステーションで勤務。
2024年、保育士免許を取得。
ありのままを認め合う社会を目指して
私がこの事業を立ち上げる事にしたきっかけは自分の子育てです。現在13歳、7歳の男児の母です。2人共、個性が強く、集団の中で周囲に合わせて育てることが非常に困難でした。近くに親戚もおらず、旦那さんも働き盛り、そんな中で、子どもと必死に必死に向きあっても、子どもには全く伝わらない日々。周りの大人からは冷たい視線や心無い言葉を浴びることもありました。子どもを連れて、もう家から出ないほうがいいなと思う時もありました。また、時につい我が子を責めてしまい、そして、そんな自分を責める日々でした。
そんな中、ありのままの息子たちを「すごくいいじゃん」と、認めてくれる人たちや仲間たちが居ました。私はその人たちに本当に救われました。その人たちが居てくれたから、現在の息子二人、家族の笑顔があるのだと思います。だから私もその子のキラキラ光る所に目を向け「ありのままでいいじゃん」と認めてくれた、その思いをつなぎ、子どもたちや親御さんの笑顔を守るお手伝いができたらと思うようになりました。
みんなちがって みんないい
インクルーシブとは全てを包み込むという意味があります。障害の有無・性別・人種などすべての違いを認め合い、お互いの尊厳を大切にすることです。
マイペースな息子たちは、子育て本通りにいくことはほとんどなく。でも、何年遅れても、周りの発達ペースと違っても、彼らのペースで少しずつできるようになる事があると知りました。ひとりひとり違うペースで成長しているだけなんだ。周りのペースに合わせようとするから辛くなっていたんだ。ただただ、みんな違うだけだったんだ。そして、世間一般でいう普通ではなくても、その子にしかないキラキラと光るところに目を向ければいいんだ。そのことに気づいてからは、子育てのストレスが驚くほど減りました。みんな違ってみんないい。そんな思いを子どもたちや親御さんたちに伝えていきたいと思っています。
私は、重症心身障害児者施設で働く中で、重い障害のある方のひとりひとりのキラキラ輝く魅力的なところに心打たれ、一緒に過ごす中でいつの間にか心が洗われている自分が居ました。そして本当に多くの学びをいただきました。なぜ、こんな素敵な方達たち今まで関わることが無かったのだろうと思いました。
日本では多くの場合、特別支援学校等、小さいころから障害の有無で過ごす場所が分けられてしまうのが現状です。特別支援学校はお母さんたちの強い働きかけにより、障害のある子も平等に学校で義務教育をうけることができるようになったという、素晴らしい歴史のある場所です。もちろん専門性の高い支援が受けられるという魅力があります。でも、そのことで障害の有無により居場所が分断されているということも現実なのです。一方で教員不足が深刻化する中、障害のある子が普通級で過ごす事に、課題が多いのも事実です。幼児期は健常児においても、まだまだ自分ではできないことが多く、障害のある子と無い子との差はまだ少ない気がします。だからこそ、まずは幼児期からインクルーシブな場所をつくり、もっともっと当たり前のようにみんなの中に障害のある子が居るようになってほしいのです。心救われる人がたくさんいるはずです。
「みんなちがってみんないい」金子みすゞさんの詞ですが、うちの次男の口癖でもあります。次男は2~3歳の時、私の勤務する重症心身障害児者施設内の託児所にいました。当たり前のように日々障害者さんと交流する中で、次男は障害者さんの存在を当たり前に受け入れていました。幼少期の頃から、障害あるなし関わらずに色々な人と関わることにより、様々な生き方があることを当たり前に認められるようになると思います。
それは人生において様々な選択をする場面で、より自分らしい生き方を選択することを自分に許し、自分らしく生き生きとした人生を送ることに繋がると思います。記憶にはあまり残らない幼少期ですが、だからこそ、長い人生の土台となる大切な時期。
自分のありのままを認めてもらい、みんなのありのままも認められる。みんな違ってみんないい、そんな土台をもって人生歩んでいけたら人生とても楽しい豊かなものになるのではないかと思い、インクルーシブ託児所をつくることにしたのです。
いつでも誰でも気軽に立ち寄れる場所がある安心感
核家族化が進む中、子育ては孤独なものになりつつあります。昔なら、おじいちゃんおばあちゃんがちょっと見てくれていたようなサポートは無くなり、隣近所とのコミュニケーションも減りました。閉ざされた環境の中で、昼間はほとんどお母さんが片時も目を離さずに子育てをしなくてはなりません。そうした追い詰められた子育ての中で、昨今の虐待や心中自殺という悲しい事件が増えているのかなと思います。
ママはいつも、子どもに対してあたたかく大きな愛で包み込む存在で居たい。母親みんな、そうでありたいと思っています。でも、現実、そんなのは理想論です。お母さんだって同じ人間です。超人では無いのです。駄目なときだってあります。グダグダで頑張れない日やイライラがおさまらない時。みんなあります。
そして、発達障害を抱える子も年々増え続けています。発達障害があるお子さんのお母さんたちは、愛着形成が上手くいかない時もあり、強い不安を抱き、思い悩みます。また、発達障害の認定を受けたお子さんだけではなく、俗にいうグレーゾーン、育てにくい子も同様です。
発達障害の特性はみられるものの診断基準には満たなく、集団の中でなんとか過ごしているお子さん。分かりにくい部分があり、診断はされていないため、教育者や親はついついみんなができていることを子どもに求めてしまいやすいんです。また、周囲からの理解が得られないケースが多く、しっかり子育てをしていないからでしょ。と言われる時もあります。それを鵜呑みにして、子ども、自分を責めつづけ、親子で苦しい状況に陥ることになりかねません。どれもこれも、本当にただただ、みんな違うなだけなのに………
どの親御さんも、みんな、子どもへの愛情深さゆえ、自分のことはそっちのけで悩みを多く抱え込みます。
だから、そんな時にインクルーシブ託児所をつかってもらいたい。お母さん、お父さんだって子どもたちと同じ価値があるんです。子どもと同じくらい自分自身を大切にする時間を作ってほしい。お母さんお父さんのエネルギーが充電されたなら、また、子どもを大きな愛で包み込むことができるから。
その間、私達が、お子さんのキラキラ光る良いところに目を向け、ありのままを受け止めてあたたかく保育します。大切なお子さんを安心して預けられる場所を提供します。
いつでも、安心して預けられる場所があり、いつでもだれでもフラッと立ち寄れて誰かに話を聞いてもらえる居場所がある。そんな安心感の中で子育てをしてほしいのです。それぞれをみんなで認め合い、多世代、地域で支え合い、みんなの笑顔を1つでも多く守っていきたい。
そういう場所にしていきたいと思っています。
ままえん代表 赤羽明日香